
肌寒くなり、クローゼットから引っぱり出してみた秋冬物の洋服。
いざ着ようと思って広げてみたら虫食いの穴が!
……なんてことありませんか?
今回は、そんな衣類の救出方法をお教えします。
ウチのブログ記事(ニットに開いた穴の修繕方法)が #きらッコノート に掲載していただきました✨
最初は旅ネタをメインにするつもりでしたが、結局は雑記ブログに落ち着いたので日常のお役立ちネタもご覧ください。https://t.co/pavDMk6IpJ
— ゆきみち👒みち (@Yukimichi2018) July 28, 2020
服にあく穴はほぼ虫のせい
繊維を食べる虫は何種類かいるのですが、有名なのがイガ。
「衣蛾」とも書きます。
成虫は服を食べませんが、幼虫が服の繊維を食べてしまいます。
たんぱく成分であるケラチンが含まれる、ウールやカシミアなど天然毛が大好き。化繊や綿は好みませんが、汗や皮脂・食べ物の汚れなどが付いていると、その部分が食害されます。
幼虫は銀色をしていて、大きさは1センチくらい。パッと見はフナムシにしっぽが2本生えたような見た目で、動きの素早い虫です。
「ゴ」のつくあの虫と同じで、一匹見たら複数匹いる可能性がありますので、補修する前に退治することをお忘れなく。
成長すると、薄茶色をした三角形の小さい蛾になります。
表に干しておいた洗濯物にくっ付いて室内に入ってきたりするので、油断なりません。
画像は貼りませんが、どんな虫?見たことあるかな?など、気になった方だけこちらからどうぞ。
食べられたニットがこちら
私のお気に入りが食われてしまいました。
ウールが5%含まれているニットのカーディガンです。
穴の大きさは直径5㎜以上ありそうです。
自分で補修して大丈夫?
穴の開いた衣服を修復する技術のことを、「かけつぎ」又は「かけはぎ」と言います。
スーツの生地に焼け焦げ穴が開いてしまった・裾を引っかけて破いてしまった、なんていう時にも上手に直すことができます。
プロは、裾の余った部分などから生地を少しだけ取り、穴に当てて織り目まで同じように再現しながら破れ・穴などを修復していくのです。
ニットなど、毛糸で編んだものは、同じような糸を使い編んでいくことで穴を塞ぎます。
ただ、どうしてもかけつぎとなると専門店のプロの手が必要です。
料金の相場は、5㎜程度の穴で大体5,000円ほどです(もっと安い・高い業者さんもあります)。
思い入れのある品・高級な着物などは、やはり綺麗に直したいものです。
プロに任せれば、ほとんどの場合、どこに穴が開いていたのかわからなくなるほどの出来栄えが約束されています。
また、織物(スーツ、スカートなど)製品も、専門店で直してもらった方が良いです。
素人が直そうとすると、布用接着剤を使うような方法しかないので…
着られる・着られないで言えば「着られます」が、実際、綺麗ではないです(経験済み)。
でも今回は、「自力で修復してみよう」という記事ですから!
ニット生地前提ではありますが、お金を出して直すまではちょっと…でも捨てるのはもったいない、と思うようなものがあれば、自分で補修をしてみませんか?
例えば…
こんなの。
完全に破れてしまったら捨てるしかないですが、この程度ならまだ救助の余地がありますね。
靴下の縫い方は、また後ほど。
穴の開いたニットを縫います
用意するのは針と、ニットの色に近い糸、そしてハサミです。
手持ちのソーイングセット(100均)に入っていた糸が割と似ていたので、今回はそれを使いました。
あくまでもボタンが取れた時などのための緊急用の縫い糸なので、20㎝くらいの長さしかありませんでしたが、それでも大丈夫でした。
心配でしたらもう少し長めの糸を使ってくださいね。
お裁縫をする時、普通は最初に玉結びといって、結び目を作ってから縫い始めるのですが、ニットの場合は玉結びをしても引っこ抜けてしまうので意味がありません。
縫い始めの部分に余裕を持って糸を残し、そのまま縫います。
穴の周囲に沿って、点線の部分に針を刺していきました。
編み目の小さい輪っかを見ながら、ちぎれずに綺麗なΩの形を残している部分を拾っていきます。
簡略化していますが、上の図のように糸を通していきます。
穴のキワに近すぎる場所を縫うと、切れたり弱くなったりしている生地が、縫い糸の強さに負けてしまい結局また破れてしまいます。
かと言って遠すぎる部分を縫ってしまうと、最後に糸を引き締めた時、絞った感じ(引きつった感じ)で不自然な仕上がりになります。
文字にすると難しく思えるかもしれませんが、実際に見ながらやると案外簡単ですよ。
ぐるっと一周して、綺麗に閉じられたらそこで一旦やめます。
2周するやり方もありますが、薄手でやわらかいニット生地の場合、それをやると手で触った時に硬い部分が出来たり、「ここを縫いました」感が出てしまうこともあります。
2周する代わりに、編み目から見て横方向へ往復させるように数回糸を通しました。
イメージとしてはこういう感じですね。
最後に、針を外して両端の糸を軽く引っ張り、片結びをします。
縫い始めと縫い終わりを同じ位置にすると、綺麗に結べます。
結び目は針の頭で裏面に押し込んで隠しました。
今回は使いませんでしたが、結び目を作らなくてもほどけない「返し縫い」という方法もあります(薄手の生地にはあまり向いていません)。
続く「靴下の補修」で返し縫いを実践していますので、最後までご覧くださいね!
そんなこんなで、ニットの穴が無事塞がりました。
今回は適当な糸を使ってしまいましたが、もっと色を合わせることで更に目立たなくすることができます。
更に太い毛糸で編まれたセーターなどは、似た色の毛糸や(毛糸用の針があります)刺繍糸など太めの糸で縫うことで自然な仕上がりになりますよ。
注意点
- 縫った場所がわかっても気にしない、と思える方以外は糸の色を正確に合わせてください。
- 最後に穴を閉じる時、あまり糸を引っ張りすぎないでください。
靴下の穴も簡単に直せます
では、靴下を補修していきましょう。
表裏をひっくり返して縫います。
まずは、返し縫いでスタート。
見やすいようにピンクの糸を使っていますが、もちろん実際は靴下と同じ色で縫ってくださいね。
返し縫い(本返し縫い)は、こんな感じに針を進めています。
- 最初にBの場所に針を出し、ひと目ぶん戻ってAの場所へ針を入れる
- 生地の下をふた目ぶん進んでCへ出る
- CからBへ戻って入る
- ふた目ぶん進んでDへ出る
- DからCへ戻って入る(以降繰り返し)
※出す→生地の下から上に針を出す/入る→上から下に針を入れる
このように縫うと、ミシンのような丈夫な仕上がりになります。
ミシンを使った縫い物では、最初の玉結びや最後の玉止めは必要ありませんが、手縫いでもこのように「返し縫い」をすれば、結び目を作って固定しておかなくても糸がほどけません。
今回は5針の返し縫いをして、ニットの時と同じように穴の周りを一周しました。
その後、横糸の向きに合わせて穴を横断します。
回数は穴の大きさによりますが、この靴下の例では4往復させました。
最後も返し縫いをして終わります。
これで本当にほどけてこない?と心配な方は、返し縫いの後、写真のように針で少しずつ生地の糸をすくって、縫い糸を間に通してください。
返し縫いの後、生地の間に糸を通し終わったところ。
後は、余った縫い糸を切れば完成です。
履いた時にゴワゴワしない、やわらかい仕上がりになりました。
割と強めに引っ張っても大丈夫。
ピンクの糸が目立ちますが、特に人に見られるような場所でもないので良しとしました。
注意点
- 放射線状に適当に縫ったり、同じ個所を何度も縫ったりすると、足に縫い目が当たって履き心地が悪くなります。
- 周囲の生地をやさしく引き寄せて綴じるイメージで縫いましょう。
- 擦り切れて薄くなったり、ボロボロになってしまったものは直せませんので、気が付いた時点で早めに対応をすると長持ちします。
まとめ
以上、ニット生地の穴を自分で補修する方法でした。
繊維を織り合わせた衣類というものは、遅かれ早かれ劣化するもの。
セーターの虫食いは日頃の注意で防げても、靴下は履き続ければいつかは穴が開いてしまいます。
お金を払ってお直しするほどではないものならば、ゴミに出してしまう前に、自分で繕ってみるのはいかがでしょう。
裁縫がそれほど得意ではない方や、針なんて滅多に触らないような方でも、上記の作業をひとつひとつ丁寧に行えば成功すると思います。
その時に、この記事が少しでも参考になったら嬉しいです。