【元そば屋が教える】家庭で簡単に美味しくそばを茹でる方法とコツを伝授

暑い季節も寒い季節も美味しいおそば。

お店に食べに行くと結構なお値段がしますが、スーパーで売っているような市販品でもそれなりに美味しく食べられる方法をまとめました。

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市販のそばを美味しく食べるコツ

市販のそばって、たくさんの商品からどれを選んだらいいのか迷いますよね。

一般的な蕎麦3種

  1. 生麺(年越しそばのシーズンにはよく陳列されています)
  2. 半生麺(年中見かける、生麺よりは水分の少ないそば)
  3. 乾麺(干しそばともいう、素麺のように棒状に束ねたもの)

どれを買ってもいいのですが、大切なことは袋の裏をじっくり見て選別することです。

添加物が入っていない、もしくは少ないもの

生麺は保存がきかないので、添加物、特に酸味料が入っていないものはなかなか見つからないと思います。

酸味料というのは特に害はありませんし、気にならない人は気にならないのかもしれませんが、私はあの酸っぱい風味でそばの香りが台無しになると思っております…。

開封した時に漂う酢の匂いは、茹でるとお湯に溶け出してマシにはなります。でも、酸味料が多めに配合されている麺だと抜けきれないこともあります。

その点、乾麺だと添加物は塩くらいしか含まれていないので安心です。

基本的にそばを打つ時に使うものは、そば粉と、つなぎの役割をする小麦粉(10割そばは、100%そば粉です)と、水だけです。

バリエーションとして山芋を入れたりすることもありますが、山芋を入れると全く日持ちがしないので、自分で打つ時にはあまり入れませんでした。

添加物なしの麺は、すぐ傷んでしまい売り物になりませんので、生麺の場合、多少は含まれていても仕方ないと思います。

ちなみに、お蕎麦屋さんで年末などに売り出している生麺は、自家製麺であれば添加物なしだと思います。

そば粉の割合が多いもの

よく聞く二八そばというのは読んで字のごとく2割がつなぎ(小麦粉など)で8割がそば粉で出来ているそばです。

しかし市販品の場合は、そば粉の割合が3割以上であれば「そば」と名乗って良いそうです。

立ち食いそばだと1割くらいしか入っていない激安店もあるそうで…ここまでくると、そばじゃなくて色の付いたうどんです。

そこまで小麦粉を増やすなら、多分普通のうどんの方が美味しい…。

 

私たちが良く買うのは原料表記の一番前の部分に「そば粉」と書いてある商品、つまり小麦粉よりそば粉の割合が多いそばです。

これが逆だと本当に風味が違ってきます。

「蕎麦屋で食べるそばと同じくらい美味しい味」を目指している身としては、ここだけは譲れない部分なので、今度そばを買うときには是非裏側をじっくりとご覧ください。

パックの茹でそばみたいに30円では買えませんが、それでも蕎麦屋で食べるそばよりは断然安いです。乾麺なら、結構高いものを選んでも、ひとり200円もかかりません。

生麺を買う場合、乾麺より少し値段が上がりますが、お店で食べるよりは安上がりだと思います。

上手な茹で方

乾麺でも生麺でも、とにかく茹で時間を守ってください。

カップ麺は3分待たなくても美味しく食べられるかもしれませんが、日本そばの場合は時間厳守でお願いします。

また、パスタのように色々と準備している間に麺が伸びることを計算に入れたくなる気持ちはわかりますが、アルデンテに仕上げるのも良くありません。キッチンタイマーを(なければスマホのタイマーでも)必ず使いましょう。

冷たくして食べるそばと温かいそばで、袋の裏に表示されている茹で時間に差がある場合は、食べたい状態に応じて、ちょうどの茹で時間で湯から上げてくださいね。

生煮えで真ん中に芯が残った状態のまま冷水で締めると、口当たりがとても悪くなります。

特に、水分量の少ない乾麺は表示の時間より早めに上げてしまうと、学食の冷凍そばの方がよほど美味しいというレベルになってしまいます。

使う鍋は家にある一番大きい鍋で、お湯は目いっぱい入れてくださいね。

我が家では多めの2人前で4リットルくらい使います。

カレー鍋などで茹でますが、大きめの圧力鍋なども深さがあるので良いと思います。

大人数分を茹でたい場合は2回以上に分けてください。

改めてお湯を沸かし直すか、最初から鍋を2つ用意するのは面倒ですが、ご家庭用の鍋ではおいしく茹でられるそばの量に上限があるので、仕方がないのです。

もし、炊き出しに使うような大きなお鍋をお持ちでしたら、大家族のお食事に出すおそばでも一気に茹でられると思います。

  • そばを入れすぎない。
  • できるだけ多めのお湯で茹でる。

ここ大事です。

鍋を火にかけたらお湯がぐらぐら沸くまで我慢。

 

蕎麦 ゆで方

きちんと湧いたらいよいよそばを投入します。

麺と麺がくっつかないようにそっと菜箸でかき混ぜ、ほぐれたら蓋をして(もちろん、圧力鍋を使った時にはきっちり蓋をしてはいけませんよ)下がったお湯の温度を早めに上げるのがポイント。

再沸騰したら蓋を取りましょう。

そばを茹でていると、お湯の粘度が高い関係で、突然沸き上がります。なので決して火から目を離さないように。

吹きこぼれそうになったら足し水はせず、火加減を弱めて調整してください。

 

蕎麦 ゆで方

そばがお湯の中で踊るようになり、全体がふわふわと表面に浮いてきたらいい感じ。もう少しです。

タイマーが鳴ったら一気にお湯から上げてザルに取ります。

この時に使ったお湯は、そば湯として飲めるようなお湯(10割そばの乾麺を茹でた後のお湯は、結構美味しかったです)でなければ捨ててください。

 

そば ゆで方

茹で上げたそばは、水道水(流水)で熱を取ります。

冬場は水が冷たいので簡単に冷えますが、夏場のぬるい水でも大丈夫なので、やさしくこすり合わせてぬめりを取りながら麺を冷やしてください。

その後、氷水に入れて更にそばを締めます。

あたたかいそばを食べる時は、小麦粉多めの安いそばであればこの作業は必要ありません。正直、それほど変わらないからです。

ただし、生麵を茹でた場合はぬめりが出ますので、この作業は抜かさないでください。できれば、手が痛くなるくらいのよく冷えた水を使いましょう。

 

蕎麦 ゆで方

お店では、直径50㎝くらいの大きなたらいにたっぷりの氷水を入れ、その中に同じくらい大きなザルをセットし、そばを冷やしてからザルごと引き上げていました。

今は自宅の小さな流し台で作業していますので、普通の大きさのボウルに氷水を張っていますが、真夏などで水が冷えにくい時は、ボウルに直接そばを入れてしまうこともあります。

そうすると、ボウルの中で溶けかけた氷とそばが混在状態になりますが、気にせずスピード重視でよくかき混ぜて冷やします。

放置するとそばの成分が水に溶け出してしまうので、冷えたらすぐにザルに上げて自然に水気を切ります。

 

蕎麦 ゆで方

冷たいそばを食べるのであれば、ここでお皿に盛りつけます。

少しずつ取り分ければ、氷は自然とふるい落とされますが、多少なら残っていても影響ありません。

ただ、べちゃべちゃの状態でお皿に盛ると、どんどん状態が悪くなっていきますので、ある程度しっかり水分を落としておきましょう。

出来上がったもりそばの上には、七味(わさび同時乗せもOK)を直乗せで食べるのが通の食べ方だと自負しています。

薬味はつゆに溶かしてしまうより香りが立って美味しく感じるんです。

ただ、みち(夫)は温そば以外に七味をトッピングするのはイヤなんだそうで…本当に好みが合わない!

ゆき(妻)は、わさびは適量を麺の上にまぶす感じにし、七味の方は好きなだけ振りかけて食べます。

七味好きなら試してみてください。絶対美味しいと思います!

 

下の写真のお皿、すのこが載ってないのはお気になさらず…。

すのこなしで食べる地方もあるんです。別に無くても美味しく食べられますしね。←買ってなかっただけとも言います

 

蕎麦 ゆで方

温かいそばを食べる時は(水で締めた場合)、茹でるお湯とは別に、熱いお湯を用意します。

湯切りザルに一人前のそばを入れて上からお湯を回し掛け、湯切りをしてお椀に移します。

湯切りをするときは上下に振ると中身が飛び出してしまうので、カタカナでノの字を描くように上から斜め下に向けて、手首を返すように遠心力を使って振ると上手に湯切りできます。

ちなみに、ラーメン屋さんの真似をして思い切りダイナミックなアクションをすると、間違いなく中身が吹き飛びますのでご注意ください(^^;)

ゆき(妻)も未だに「ラーメン屋方式」はできません。「ノの字バージョン」ですら上達するまで数週間かかりました…。

腕に自信のある方以外は、普通に上下へサッサッと振り下ろすだけでもOKです。

たとえ乾麺でも、丁寧に、そして基本に忠実に茹でれば、お店で食べる上等な生そばにこそ及ばないものの、元蕎麦屋の人間でも満足して食べられるなかなかのお味になりますよ。

市販の美味しいおつゆ

記憶が定かでないものの、確か20年前に買った市販のめんつゆは全然美味しくなかったんです。

しかし、蕎麦屋をやめてから仕方なく買ってみためんつゆの美味しいこと!

業界の進歩ってすごいなあ…。まずい蕎麦屋(失礼)のそばつゆより確実にイケております。

 

めんつゆは濃縮度合いが違うものがたくさんありますね。

基本的に濃縮倍率が高いつゆほど、薄めても塩味が強く感じられ、尖った印象を受ける傾向があります。

つゆの命は出汁ですが、出汁の比率を高くすると日持ちせず傷んでしまうので、常温保存をきかせる為にも塩分を強めにする必要があるわけです。

その点、出汁を贅沢に使ったストレートつゆは、保存料も入れずに味で勝負!というものばかり。

確かにとても美味しいと思いますが、結構お高めで、開けてから2~3日しか持ちません。

めんつゆは長期保存に向いていないので、濃縮タイプであってもラベルには「開栓したら冷蔵庫で保存し早めに使い切ってください」と書いてあると思います。

それでも濃縮タイプのつゆは比較的日持ちし、いろんな料理に応用が利いて便利ですので、使いやすさと自分好みのおいしさ、両面でバランスが取れるめんつゆを選んでください。

画像転載承諾済み:ヤマキ公式

 

個人的には2倍濃縮の、ヤマキのめんつゆがちょうど良くて好きです。

少し甘めですが出汁の強さが絶妙。さすが鰹節屋さんのめんつゆだと思います。

いろんなメーカーの、ちょっと高級品の部類も試してみましたが、塩辛かったり香りが苦手だったりするのが多く、結局このめんつゆに戻ってリピート買いしています。

〆はそば湯!自作するのもオススメ

ここまで読んでくれている、そこのあなた。

根っからのそば好きと見込んで、「そば湯」のこともおすすめしておこうと思います。

 

蕎麦湯

蕎麦屋で出てくるそば湯は、基本、そばを茹でた釜のお湯です。

生そばはお互いがくっつくのを防ぐために打ち粉を振られていますが、あれって何の粉だかご存じですか?

何となく小麦粉っぽく思われがちですが、実はあれ、打ち粉用のそば粉なんです。

ですので、釜のお湯にはそば粉の成分と、お湯に溶け出したそばの栄養分が混ざっているのです。

添加物がたくさん含まれたそばの場合、茹でた後のお湯を使うのはあまりおすすめできません。

ゆき(妻)は、市販のそばを茹でる時、雑味をお湯に移して捨てているものだと考えています。

茹でる前に袋の裏面を見て、添加物が気にならない程度のそばであれば、茹で汁をそば湯として使うこともあります。

こんな感じならOK
蕎麦 乾麺の選び方

専門店で出てくるそば湯は、釜のお湯にそば粉を足して濃度を調整しています。

サラサラも良いけれど、私たちはとろみの強いそば湯が好きです。

ポタージュみたいにトロトロのもたまに飲みますが、単品で飲み物にしたいくらい美味しいんです。

これを自作してしまうと、もう後戻りができなくなる旨さなんですけど、たかがそば湯(なんて言いたくないけど…便宜上!)をわざわざ作るなんて面倒ですよね。

そんな時は上に書いた通り、茹で汁を使ってください。トロトロにはならないですけど…。

いやいや、美味しいそば湯が作れるなら試してみたい!と思ってくれたあなたには、自作の方法を別ページでお教えします。

つゆまで作れば玄人の味!

さあ、ここまで来たらもう、自宅でそばパーティーを開催する日も遠くない。

蕎麦屋のそばつゆは「だし」と「かえし」で出来ています。

かえしは出来上がってから角が取れておいしくなるまで最低でも1週間ほどかかるので、急におそばを食べるために仕込むと間に合いません。

そういう時には迷わず市販のそばつゆを使いましょう。

ただ、かえしの製作は技術的に全く難しくありませんし、保存が効くのでとても便利。

暇なときに仕込んでおいて損はありません。

出来上がったかえしは、丼に使うのはもちろん、甘辛味の肉料理や炒め物、肉じゃが、天つゆや鰻のタレ、おひたしにも使える万能調味料な上に、常温で保存できる優れものです。

店では継ぎ足し継ぎ足しで、ずーっと常温のまま何年も甕(かめ)の中で放置されていましたが、全く劣化しませんでした。

かえしと冷たいめんつゆ、美味しいそば湯の作り方の記事はこちら

温かいそば・うどんが食べたい時には、温かいつゆ(かけつゆ)を用意しましょう。

こちらもかえしがあれば簡単に作れますので、詳細はこちらから

まとめ

蕎麦屋で食べるのと変わらないくらい美味しいおそばを手軽に家で食べる5か条をまとめてみました。

  1. そば粉の割合が多く、添加物の少ないそばを買うこと
  2. 好みに合う美味しいおつゆを使うこと
  3. たっぷりのお湯で時間通りに茹でること
  4. スピード勝負なのでのんびり作業をしてはいけません
  5. 薬味は直乗せ推奨。わさびが苦手な人には七味が激オススメ

ご家庭でも再現できる、限りなくプロに近い味。

あなたもどうぞ試してみてくださいね。

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