【元そば屋が教える】かえし・めんつゆの作り方【そば湯も自作】

こんにちは、ゆきみちです。

実は元蕎麦屋さんのゆき(妻)と、そば大好きのみち(夫)が、今回の記事でご紹介するのは、そばつゆに欠かせない材料のひとつであり、味の決め手でもある「かえし」の作り方。

もちろん幅広くめんつゆとして使えますので、そば嫌い!うどんラブ!っていう熱狂的うどん派のあなたも是非ご覧ください。

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かえしを作ろう

基本のかえしの作り方をご紹介します。

どこの蕎麦屋にも絶対にある、かえし

さて、その秘伝の原料の内訳とは…

素材は至ってシンプル

  1. 醤油
  2. みりん
  3. 砂糖

以上、これだけです。原料としては、秘伝感ゼロですね。

ただ、材料が少ないからこそ、ある程度「質のいいもの」を使うと良いと思います。
美味しいお蕎麦屋さんでは、そば粉にこだわるのは当然ですが、ここで使う原料とだし汁で差別化を図っていると思います。

以前働いていた店で「かえし」を作るのに使っていた材料は、たまり醤油・濃口醤油・みりん・白砂糖です。
通常の醤油は大豆と小麦を使って作るのですが、たまり醤油はほぼ大豆のみで作られていて、旨味が強いのが特徴です。
水分も、通常の半分から8割くらいの量になっているので濃い色をしていて、若干とろみがあります。濃口醤油とたまり醤油の割合は9~8:1くらいです。

みりんに関しては、正月に飲むお屠蘇(とそ)のように、そのまま飲めるほど上等のものを使っていました。
材料を全て混ぜて釜で煮切ってできた「かえし」を、薄口醤油と出汁と砂糖で作った「白だし」と合わせるのがうちのやり方でした。

白だしを多くすれば温かいおそばに使う「かけつゆ」が、少なくすれば、ざるそば用の「つけつゆ」が作れます。

では、さっそくかえしを作っていきましょう。
使用するのは

 

かえし 材料

  • 醤油750ml
  • 本みりん180ml
  • てんさい糖(茶色の砂糖)140g

 

材料について

今回は、薄い色に仕上げるため、試験的に薄口醤油で作りました。

かえしは、仕上がってからすぐには使わず「寝かせる」時間を取るのですけれども、薄口を使うと少し塩分が尖った感じになるので、濃口よりも少し長めに寝てもらうことになりました(みりんの配合を上記より少し増やすのもアリです)。

どんな醤油でもかえしは作れますが、薄口より濃口の方が一般的な味で使いやすいと思います。

ご当地ものの、「少し高いけど美味しい醤油」を使ってみるのも良いと思います。

普通の家には、たまり醤油はないと思いますが(さしみ醤油でも代わりになります)もしお家にあれば、1~2割ほど加えて使ってみてください。

うちは何にでも茶色い砂糖を使うので、今回はビート(砂糖大根)から出来ている「てんさい糖」を使いました。

てんさい糖にはオリゴ糖が含まれていて、黒糖のような独特の風味もなく上品な味。
そのまま味見すると、普通の砂糖より甘くない(変な表現ですが甘さがやわらかいのです)のがわかります。

ただ、てんさい糖を常備しているご家庭もなかなかないでしょうし、きび砂糖や三温糖、ザラメ糖などコクの出る砂糖を使ってお試しください。

人それぞれ味の好みもありますので、上白糖、氷砂糖、水あめなどを使うのが好きな人もいます。

そんな感じで、(我が家の)かえしの材料選びは実にゆるく、どこどこ産の〇〇でないとダメ!なんてことは一切ないのですが、

みりんはみりん風調味料ではなくて、国産の本みりんを使ってください。

もちろん、ものすごく高級なみりんでなくても美味しいかえしは作れます。

私たちは、先日スーパーで小さいボトルなのに700円くらいする三河みりんを見つけて、すっごく欲しかったんですが我慢しました。(笑)
もし、高級なみりんを手に入れる機会があったら是非使用してみてくださいね。

作り方

まずみりんに、砂糖を加えて中火で溶かします。

 

かえし

茶色い砂糖を使っているので、醤油を入れる前から茶色っぽいです。
沸騰させてしばらく置けばアルコール分はなくなります。

今回はチャッカマンで火を付けて一気に飛ばしました。
この手順、アルコールが無くなった瞬間に目で見てわかる点が便利なんですけれど、必須作業ではないので怖い人はやらなくていいですよ。

あと、ガス・火災警報機の種類によっては鳴ることもあるみたいなので、換気には充分ご注意ください。

 

かえし 作り方

その後、醤油を加えて加熱します。
決して沸騰させないようにしてください。
80~85℃くらいで火を止めます。

ここでは温度計がなくても構いません。

細かい白い泡が湧いてきたら、いい頃合い。

それ以上火にかけ続けると更に泡立ってきて沸騰してしまいます。そうなる前に火から下ろしましょうね。

はい、おしまいです。

本当にこれでおしまいです。簡単でしょう。

後は自然に冷まして、ふたのできる容器に移します。
ビンでもプラスチック容器でも何でもOKですが、アルコールや熱湯などで消毒しておくことをおすすめします。

かえし 作り方

私たちが使ったのは900mlのジュースの容器。ちょうどぴったりでした。

このまま冷暗所で放置です。

1週間以上寝かせると、強い醤油の味が徐々にまろやかになってきます。
仕込んだことをすっかり忘れて、あれ?そういえば…と思い出した頃には熟成が進んで美味しくなっていますよ。

うちではずっと流しの下に置いています。
記事の執筆時は、真夏でしたので「冷暗」というわけにはいきませんでしたが、それでも大丈夫でした。

賞味期限は1年くらいと聞きますが、寝かせた後で冷蔵保存すればもっと持つと思います。
ただ、色んな料理に使ってしまうので案外早く使い切ってしまうかもしれません(^^;)

かえしの使い道

※倍率は2倍=1:1です。つまり3倍は1(かえし):2(出汁)ということになります。

  • そのまま【さしみ醤油】【玉子かけご飯】
    • 2倍【納豆のタレ】【おひたし】
      • 3~4倍【そば・うどんのつけつゆ】【丼のつゆ】
        • 5倍【天つゆ】
          • 8~9倍【そば・うどんのかけつゆ】【鍋物、雑炊など】

            だしと割らなくても、みりんと合わせることで照り焼き風味の味つけができますし、焼き鳥や鰻のタレも作れます。
            日本酒で濃さを調整すれば、すき焼きの割下にも。
            また、煮魚や肉じゃが、野菜炒めなど醤油と砂糖を使うメニューなら何にでも使えます。

            かえしは別名「八方だし」とも言って、それだけ多種多様な料理に利用できるんですよ。

            かえしを使ってつゆを作ろう

            薄口醤油ベースで色が淡く、だしの風味が利いたかけつゆ、濃口とたまり醤油のコクがあるつけつゆ、これがお店では売りでした。
            ただ、かけつゆ(温かいそばつゆ)に関しては自宅で再現しようと思うと、かえしを薄める役割をする「白だし」にひと工夫をしなくてはなりません。

            白だしは、作る前日から昆布を水に浸けて置いたり、宗田鰹・サバ・うるめいわしなど、素材を沢山用意するのが結構大変です。
            ゆきみちはこだわりだすときりがなくなるタイプ(そして面倒くさがり…)なので、市販のだしパックを使っています。

            自宅でかけつゆ用の白だしを作る方法については(店で出していたものより簡単にできるレシピを考えました)、こちらの記事中に書きましたので、ご覧ください。

            かけつゆ・簡単白だしの作り方

             

            かえし 出汁

            このだしパックだと塩分不使用ですが、塩分ありでも作れます。
            写真は開封前なので、袋がパンパンでわかりにくかったですね。
            徳屋商事のだしパックです。近くのスーパーで売っていました。

            原材料は「かつおのふし、むろあじのふし、さばのふし、宗田鰹のふし、真昆布粒」と書いてあります。
            かつお&宗田鰹の両方と、さばぶしが入っているので買いました。
            お店で使っていた材料とほぼ同じです♪

            ちなみに宗田鰹はマルソウダというかつおの近縁種で、主にかつおぶしの原料になります。
            普通のかつおと比べて血合いが多く濃厚なだしが取れるのが特徴で、これがそば・うどんにはよく合うんです。

            ですので、そばつゆのために出汁をとる場合は、ぜひ宗田節が入っているだしパックを使われることをおすすめします。

            かつおの濃厚な風味が勝ち気味になる関東だしですが、関西寄りのだしにするなら、かつおぶし・さばぶしに加えて昆布や煮干しを使ってだしを取ってみてください。

            色々試してみて、自分の好みを見極めるのも面白いと思います。
            あご(トビウオ)だしや、干し椎茸の戻し汁なども美味しいですよ。

             

            かえし 出汁

            袋の裏に書いてある通りにだしを取ればよいのですが、つけつゆに使うだしは、かけつゆの時よりも濃く取らないと、かえしに負けてしまいます。

            今回はつけつゆ用ということで、若干水の量を控えて少々長めに煮出しました。
            あまり長く火に掛けすぎると逆に香りが飛びますので、適当なところで火を止めて放置し、冷やしましょう。
            かけつゆなら温かいまま使います。

            「だしがら」は炒めてふりかけにしたり、おひたしに乗せるのが美味しいです。
            ここでも、今回作ったかえしの出番。
            ふりかけに味付けをするのも、おひたしにかけるのも、かえしが大活躍します。やっぱり、すぐなくなりそうな気配がしますね。

            煮出しただしは、余らせても冷蔵庫に入れておけば2~3日、製氷皿で凍らせれば1週間保存できます。

            このだしをかえしと合わせます。
            上記の通り、大体かえし1に対して3~4が目安です。

            もし、だしのパンチが足りないとか、塩気が足りないと思ったら顆粒のだしの素を加えても大丈夫ですし、しょっぱく感じたら水を足してみてください。

            この通りに作らないと駄目だ!なんて頑固職人みたいなことは言いません。
            だって、自分で食べてみて美味しいと思えるのが一番だと思うから。

            基本の作り方以外はノールールでいいと思っています。
            あなた好みのおだしができますように。

            美味しいそばの茹で方・選び方はこちら

            美味しいそば湯を自作する

            そば湯はそばを茹でたお湯。
            …それでいいのですが、ポタージュみたいにトロトロのそば湯が飲みたい時は、追加のそば粉が必要になります。

            そば湯を作る為だけにそば粉を買うのは勿体ないですね。
            でもそば粉って、パンケーキに入れたりお菓子を作ったりと、意外と使い道があります。

            私たちは、業務用食品スーパーのAプライスで1キロのものを購入しました。
            お値段は国産にしては安く、一般的な通販のものより安かったです。780円(税抜)くらい。

            このそば粉を、1人前でティースプーン2杯くらい器に取ります。

             

            蕎麦湯

            写真は2人前です。

            このそば粉に、同量の水を加えてよく混ぜます。
            そば湯を作るのだからと、いきなりお湯を入れてはいけません。

             

            蕎麦湯

            こうやって水で溶いてから、小鍋に移して更に水を加えて火に掛けます。

            加熱することで、そば粉のでんぷんに火が通り、“糊化”することでとろみがつきます。
            あつあつの茹で汁を使って伸ばすこともできますが、一気に過熱されてダマができやすいので、念入りにかき混ぜてください。

             

            蕎麦湯

            試しにお箸でもやってみましたが、やっぱり混ぜるのは泡だて器の方がやりやすかったです。

            これをとろ火で温めておけば、湯桶(そば湯を入れておく容器。ゆとうと読みます)がなくても温かいまま、食事の締めまで置いておけますよ。

            まとめ

            出来上がってから完成するまで時間のかかる「かえし」ですが、一度仕込んでしまえばその便利さに、作ってよかったと思える万能調味料です。
            お休みの日などに、ふと思い立ったら作ってみてくださいね。

            そば湯については、普段から飲む人・飲まない人がいると思いますが、水溶性であるため茹でると溶け出してしまうそばの栄養を余さず取り入れることができるという意味でもおすすめです。

            そば粉に含まれる栄養素の中で特筆すべきものにルチンリジンがあります。
            ルチンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用があり血液をサラサラにする成分です。
            もろくなった血管を丈夫で弾力のある血管へと修復する作用があると言われています。

            リジンは必須アミノ酸つまり体内で作ることのできないアミノ酸で、疲労回復や脂肪燃焼に役立つそうです。

            ただ、このそば湯、美味しいおつゆを割らなければ飲んでも美味しくありません。
            ちょっといいお蕎麦屋さんに行ったときだけでなく、ご自宅でも美味しいおつゆを用意して、最後まで味わえるようなそば湯を飲んでみてくださいね。

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